「芸術のテロリスト」の異名を持つストリートアーティスト、バンクシー。
メッセージ性の強いアートを街の壁や建物などに無許可で描き、作品が発見されるたびに話題になっています。
素性を一切明かしていない、謎に包まれたアーティストなのです。
そんなバンクシーの故郷と言われているのが、イギリスのブリストル!
ブリストルはバンクシーが活動を初めた場所でもあり、彼(か彼女?)の有名な作品をたくさん見つける事ができます。
本日は、ブリストルにあるバンクシー作品をご紹介していきます!
バンクシーの故郷ブリストル
バンクシーの故郷、ブリストル。
イギリスの西部に位置する、ストリートアーティストが数多くいる、芸術の街です。
街を歩いていると、ストリートアートで溢れる街並みを体感できます。
バンクシーに憧れてなのか、ブリストルの空気がアーティストを生み出しているのか、本格的なストリートアート作品がたくさん見られました。
(無許可で公共や私有の建造物などにお絵描きするのは、もちろん犯罪でございます)
何も描かれていない建物の方が少ないんじゃないかと思うくらいです。
カラフルでなんだか素敵なグラフィックアートばかり切り取ってしまいましたが、普通によく見る治安の悪い感じの落書きも倍量ございます。
街の中心部から少し外れると、これまた落書きだらけで、「夜に1人で歩きたくないな」という空気が漂っていました。
落書きとアートは表裏一体です!
バンクシーのアートを巡る
ブリストルはバンクシーの本拠地とも言える街ですので、たくさんの作品を見ることができます。
消されてしまったものも多いですが、きちんと残っていて2021年現在でも見ることのできるバンクシー作品をご紹介いたします!
最後には、作品の位置をまとめたマップを載せていますので、参考になれば嬉しいです。
1. Cat and dog
1990年前半、バンクシーがDryBreadZ Crew (DBZ)というブリストルのグラッフィックアート集団に属していた時期に作成された、初期の頃の作品です。
スプレー缶で落書き中の猫に、険しい面持ちの犬が近づいてきています。
現在の象徴的な白黒のステンシルタイプの作品とは一味違う、フリーハンドのカラフルな作品です。
写真だと少々見えづらいですが、右上にメッセージも書かれています。
"There are crimes that become innocent or even glorious through their splendour, number, and excess.”
「豪快さやその数、過激さによって、無罪か時には名声をも得る犯罪がある」
落書きという犯罪によって世界中で評価を得る、バンクシー本人を重ねたメッセージなのでしょうか。真相は分かりません。
2. Take The Money And Run
「お金をとって逃げろ!」
1990年代初期に描かれた、ブリストルで現存する作品の中で最も古い作品です。
InkyとMobzというアーティストとのコラボ作品で、こちらもステンシルを使わず、フリーハンドで書かれています。
今では白黒のステンシルの作品が特徴的なバンクシーですが、この頃はまだ、いわゆるグラッフィックアートっぽい色使いや文字の形を使っているのが見て取れますよね。
3. The Mild Mild West
1999年に描かれた、バンクシーの有名な作品の1つです。
「ふわふわの優しいテディベアが警察官を火炎瓶で攻撃しようとしてる」なんとも解せない絵ですが、実は背景があり、メッセージが込められている作品なんです。
描かれた当時のブリストルでは、放棄された倉庫でヒッピーたちが違法なパーティをたくさん開催していました。
この作品は、警察が取締まりの為にとあるイベントを攻撃してきた事がきっかけとなり、描かれたものだそうです。
「ブリストルの優しいヒッピーでも、やられたらやり返すぜ」という反政府的なメッセージが込められているんです。
テディベアに見立てられているのは、ブリストル市民。
バンクシーが「描く場所」にもメッセージを込めた最初の作品とされていて、ブリストル市民から人気の高い作品です。
4. Well hung lover
2006年に作成され、ブリストル市議会による許可を得て、イギリスで初めて合法となったストリートアートとして有名な作品です。
もちろんこれは例外措置で、ストリートアートは許容されていませんよ!と市議会は主張しております。
なかなかインパクトのある構図のこの絵、性ヘルスクリニックの外壁に描かれています。
ちなみに青いインクは作品の一部ではなく、いたずらでペイントボールを投げられて、修復しきれずに残った塗料です。
5. Rose on a mousetrap
こちらはブリストルで唯一、フレームをかけられている作品です。
2000年の初めに描かれたものです。
比較的小さな作品で、坂道にぽつんとあります。
こちらの動物たちのアートがある道路の反対側、少し坂を進んだところで見つけられます。
余談ですが絵を見つけたときに、目の前に車を停めてる方がいたので「バンクシーの絵ですね!」と話しかけたら、
「……え、あぁ、知らなかったよ!毎日ここに車停めてるのにね!…あはは!」とおっしゃっていました。
なんとも言えぬ間、、きっとあの方がバンクシーなのかもしれない。と夢を膨らませながら帰り道を歩きました。
6. Planning permissions
"You don't need planning permission to build castles in the sky"
「天空の城をつくるのに、許可はいらない」
図書館の外壁に描かれた文字列、バンクシーによるステンシルの作品です。
もともとはスマイルのような形で、右目のところにも換気扇的なものが付いていたのですが、なくなってしまったようです。
バンクシーにも、思い描く天空の城があるのでしょうか。
7. Girl with a Pierced Eardrum
「ピアスの少女」と呼ばれるこの作品は、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のパロディ化したものです。
もともと設置されていた黄色の警報機の部分を、ピアスに見立てています。
コロナ中は、このピアスの少女にマスクがかけられ、話題になっていました。
また、この作品がある場所から見えるブリストル全体の景色が、とてもカラフルできれいでした。
8. Paint-Pot Angel
ブリストル美術館では、Paint-Pot Angelというバンクシーの彫刻を見ることができます。
2009年にブリストル美術館で行われた「Banksy versus Bristol」という期間限定の展示会の作品の中で、唯一美術館に残っているのがこの彫刻。
今はこのペンキ缶をかぶった天使の彫刻しか見られませんが、公式ホームページに載っている当時の作品は見ているだけで面白いです。
知ってたら絶対に見たかった…と思わせてくれる興味深い作品がたくさんあります。
ちなみに、月曜日は美術館が定休日なのでご注意を!
今回私は月曜日に行ってしまったため、見られませんでした…
おまけ:消されてしまった作品
居住者によって消されてしまったり、取り払われたり、泥棒されてしまったり。
バンクシーのアートは神出鬼没でいて、儚いのです。
本当はブリストルにあったはずが、今はもう見られない作品もおまけにご紹介します。
Masked Gorilla
2001年ころに作成されたというマスクゴリラ。
バンクシーに珍しく、特にメッセージ性を持っていないと言われている作品です。
建物が改装されてオーナーが変わり、2020年にオークションに出されてしまいました。
Valentine’s Day
2020年2月に作成されたバレンタインデーを題材にしたこちらの作品、2日後には上から落書きされ、今やベニヤ板で覆われてしまっています。
しかし作品が台無しにされたことに対してバンクシーは、インスタグラムでこう言ってます。
なんかかっこいいですね。
Aachoo!!
2020年12月、イギリスで最も急な坂道を、目の錯覚のように利用した作品が公開されました。
しかしこちらも残念ながらオークションに掛けられるため撤去されてしまいました。(参考:BBCニュース)
Bridge Farm 小学校への贈り物(見つけられず)
バンクシーにちなんで校舎の名前を付けた小学校へのお礼として、その校舎に描かれたという作品です。
小学校まで行ってみたのですが、校舎の外からは見つけることができませんでした。
あんまり探し回っていると怪しい人になり兼ねなかったので、そそくさと切り上げました。
【2021年最新版】バンクシーマップ in ブリストル
今回ご紹介したバンクシーの作品は、こちらのマップでまとめています。
消されてしまった作品、見つけられなかった作品も、一応一緒に載せています。
(グレーのアイコンでそれぞれ「✕」「?」としています)
街の端から端まで作品がありますので、今回は車を使って一箇所ずつ回りました。
路上に一時駐車して、写真をパッと撮って次のスポット!というようにサクサク回ることができるのでおすすめです。
今回ご紹介したスポットも、車だと2時間ほどで見て回ることができました!
車で行かない場合は、徒歩ですと時間と距離がかかると思うので、バスやウーバーなどの方法が良いのかなと思います。
おまけ
ブリストルにはクリフトン吊り橋という高~い吊橋があって、人気の観光スポットです。
今回は渡りませんでしたが、遠目からでも圧巻の景色でした。
お時間がある方はぜひ、行ってみてください!
おわりに
バンクシーの故郷ブリストル、バンクシー作品がたくさんある上に、街中がグラフィックアートだらけで大変おもしろい街でした。
「もしかしたらすれ違っているかもしれない」「今喋った人かもしれない…」と、謎に包まれたアーティストの影を追う、ワクワク感のある楽しいお出かけでした!
車ですと2時間ほどで回れてしまうので、他のエリアと合わせて行くのもいいと思います!
キャッスルコンビやバースなども近くて一緒に行きやすいですよ。
アートで溢れる街でのバンクシー巡り、ぜひ行ってみてください!
うちの外壁にも描いてくれないかな~